建築について話してみよう/西沢立衛

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面白かった!

西沢氏、これまで何を考えているのかがよく分からなかった。
この本でかなりすっきりした。

いくつか印象的なことをピックアップ。

1)nLDKタイプの平面の住宅の生活シーンは紙芝居のようだと氏は言う。
ありきたりの生活シーンがスライドショーのように浮かぶという意味だろう。
確かに設計者はキッチンの形式を選ぶ時、対面式にすれば、そのような生活シーンを思い描く。
テラスを作ればガーデンチェアでお茶でも飲んでるようなシーンを。
それが行なわれるかはべつとして、シーンを思い描くこと自体は悪くないと思う。
けれども、氏が懸念するのは、シーンとシーンが唐突に切り替わって、その途中や流れが見えないことだろう。氏は
『生活のいろいろなパーツがおのおの無関係に並ぶのではなく、むしろそれらがどれもシームレスに連続し合っていることが顕在化されるような生活の全体を、描こうとしている。』という。
その例のひとつが「ウィークエンドハウス」であろう。

2)船橋アパートメントについて
ワンルームへのカウンターコンセプトとしての、「スリールーム」。
「キッチン室」「ベッド室」「浴室」。
どれもが通常よりのすこし大きかったり、小さかったりする。
その通常からのズレによって、使い手の使い方への創意が刺激される。
それぞれを分けることによって、ワンルームの混沌が整理され、なおかつ、創造的にリモデルされる。。優れたコンセプトだと思った。

3)建築の各部の「機能」について
機能をそうし易い空間というような「効率」と考えるのではなく、
そうしたくなる空間というように「快楽」として捉えること。
これも重要なコンセプトである。

4)空間の「名前」について
空間の状況に相応しい空間の名前がある筈だと氏はいう。
既存の言葉では表せないような、新しい名前を要求するような空間をつくりたいと言う。なるほど。

5)森山邸について
オープンでバラバラでありながら、まとまって不都合のない状況。

6)十和田市現代美術館について
バラバラな森山邸のコンセプトの延長とも思えるが、
アートが「場所」を強く意識するようになっているのと平行して、
建築もアートや周辺環境を読み取ってとても上手く定着している。
奇をてらったところがなく、一番相応しいプランと思えてしまう。

7)設計へのモチベーション1
自分が今思いつく空間を常に超えたいと思っている。

8)設計へのモチベーション2
優れた建築によって、非常に魅力的な都市環境が創り出されることがある。
と強く思うようになった。


どれも面白い指摘であり、建築作品として上手く具体化されていると思った。
どれも自分なりに使える汎用性の高いコンセプトであると思う。

私は、3)の快楽としての機能と、
8)の建築が創り出す都市環境に特に興味をもって、設計の基本と考えてゆきたい。

もちろん、今思いつく自分のイメージを超えたいと思ってエスキスするが、、
これは厳しい作業である。
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by juka_kawashima | 2008-12-08 00:00 | 家と庭について