カテゴリ:作品【住宅庭園】( 25 )

竣工して3ヶ月、2007年6月の写真。


f0159794_0315097.jpg西面にはシンボルツリーの桜の木(ソメイヨシノ)がある。


f0159794_033571.jpg主庭である南の庭は実は奥行きがそんなにない。
植込みは最大で2mくらいである。

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南面の庭はコンセプトの「ルーラル(田舎の)ランドスケープ(風景)」を意識してロックガーデン(=石がゴロゴロとあって、その間から木や下草が生えているような自然な感じの庭)となっている。純日本庭園のように大きな石は用いないし石を見せるための石組みはしない。あくまで植栽を際立たせるための石コロ。

根元から数本の幹がある「株立ち」の木を多く用いて、狭いながらも樹木の厚みがでるようにした。また、樹木が一直線に並んでは自然な感じがしないので、できる範囲で前後にずらし、また盛り土をして高低差をつくる。これらは木を植えながら石を置いてみての完全な現場作業で決めていった。

最も目隠しの必要な玄関前には常緑樹のシラカシの株立ち。
その右はハート型の葉が特徴のカツラの株立ち。
他に、紅葉と実が綺麗なガマズミ、コハウチワカエデ、コナラ、赤葉のトキワマンサク、など。野鳥を呼ぶために、赤い実のなるクロガネモチ。

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低木はカシワバアジサイ、ヤマブキ、ジンチョウゲ、カンツバキなど。
下草はセキショウ、ツワブキ、ヤブラン、アジュガ、など数種を最小数量で。これは予算の関係でもあり、後に増えて広がったり、なにか好きな草を植え足すことも出来るように。
実際黄色や赤の花のポーチュラカは私が植えたものではなく家主さんが植え足したもの!
こうして地際をクローズアップして見ると、盛り土が雨で流れ落ちてしまわないように、石が働いているのが分かると思う。
こういう、用途と景色を兼ねたデザインが「ルーラルランドスケープ」の本質であると考えている。

東面の「畑」と北面、西面の駐車場と果樹については後記します。
(つづく)
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2007年3月竣工のこの住宅。

基本設計および全体監修は東京の建築家、瀬野和広氏。
設計アトリエ
実施設計および現場管理を福岡の建築家、坂口舞 氏。
設計機構ワークス

外構庭園の設計と現場監理を私が担当した。

住宅の着工前から参加したが、図面や模型から極めて個性的な住宅になることが分かっていた。
住宅の概要についてはこちらをご覧ください。

木造であるが「木組み」にこだわった本格的な木造。
タイル土間のある「民家」的な平面プラン。
土壁のような漆喰の外壁。
新しいタイプの土着的な民家を構想しているのだろうことがすぐに見てとれた。

しかも敷地が面白い。
変形8角形の敷地は北面以外の東、南、西面が道に接している。
現在は北面もまだ空き地なので、四方面すべてが家に面していない。
宅地のなかで離れ小島のように住宅がそそり建っている。

外構造園のコンセプトは、
1. 「ルーラル(田舎の)ランドスケープ」
2. 四方から眺められて手入れのできる庭園
この二つが大きな柱となった。


(つづく)
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写真は2007年7月21日
新築住宅のオープンハウス(見学会)当日のものです。

▼母屋から新築住宅はこのように見えます。
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▼逆に、新築住宅の中から母屋はこのように。
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▼既存の石はこのように使いました。
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▼庭は大きな楓の木を中心とした「広場」をイメージしています。
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▼「広場」の周りに「菜園花壇」があります。
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▼花壇で仕切られた後ろは、移植した夏ミカンなどによる「果樹園」。
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かなり欲張りにいろんな要素を盛り込みましたが、なんとかすっきり仕上げることができました。
「砂利洗い出し舗装」をしているので、雑草が生える部分がかなり限定されています。

新築住宅を設計したワークスさんとオーナーさんがこの家を「楓の家」と名付けてくれたのはとても嬉しく思いました。
「楓の家」は新築のお家のことであり、同時にもともとある母屋のことでもあると思います。
庭をつくることで新旧ふたつの家と世帯が同時に生まれ変わり、これからの新しい思い出をここで育んでいかれることを願いました。

▼この日から一年前の着工前の写真をもういちど。
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工事は「根回し」から始まりました。

ね‐まわし【根回し】
[名]スル
1 樹木などの移植の1、2年前に、広がった根を根もとを中心に残して切り、細根の発生を促すこと。
2 交渉や会議などで、事をうまく運ぶために、あらかじめ手を打っておくこと。下工作。「しかるべき部署に―する」

ここではもちろん1の意味です。
2もたぶん1から来た意味です。面白いですよね。

▼根回しの図
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移植をする前にこうして根を切ってまた埋め戻しをしておくと、移植までの間に切ったところから細かい根が出て、移植が上手くゆき易いのです。

ぜんたい外構造園工事は住宅の新築工事と平行して行われました。
例えば、新築に伴って壊した外壁を母屋の周りだけデザインしなおして復旧して、母屋周りの植栽はプライバシーもあり早めに仕上げました。
▼母屋まわりの先行工事
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新築工事がほぼ終わって、母屋との間の「広場」の造園に入りました。
▼「広場」の造園
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「広場」には花壇状の「菜園」があります。
ローコストにブロック積みです。炭で着色したモルタルで仕上げます。
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上の右の写真は、花壇につくりつけたベンチに、記念に子供たちの「手形」を残した様子。きれいな手形を押すのは結構大変でした。

他にも細々とした工程はありましたが、ここでは省略。
計画を始めてからほぼ一年で「楓の家」の庭は完成しました。
2007年7月のことです。

(完成写真へつづく)
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建築や不動産、インテリアの世界で「リノベーション」という言葉がよく使われます。
僕もいまひとつしっかり意味をつかんでいたわけではなかったのです。
大辞林になかなかしっかりした解説がありました。

リノベーション【renovation】
[1]刷新。改革。
[2]修理。改造。修復。特に、既存建物を大規模改装し耐震性や省エネ性能など、用途や機能を刷新・高度化し、建築物に新しい価値を加えること。事務所用ビルの居住用へ、また、倉庫の事務所用への転用など。
〔補説〕 改装の意であるリフォームに比べ、用途変更や市場ニーズにあわせた機能向上により建物の価値を高める意味で用いられる

ここ、楓の家の庭もかっこ良くいえばリノベかなと思っていたのですが、この解説を読めば普通に「リフォーム」なのかな。
別に、庭の機能を変えた訳でもないし、市場価値を上げるためにこの庭を造ったわけでもないですから。

▼この現場に最初に訪れた時の様子。
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写真上の母屋の前に大きなモミジ(楓)の木がありました。
写真下の森のような庭のところに母屋のご子息世帯の住宅が新築されるとのこと。
新築の設計は福岡の設計事務所のWORKSさん。
設計機構ワークス

庭の設計は、まずこの沢山の既存樹のうち、どれを残して、どれを処分するかを決めること。
そして、残す木をどこにどんなふうに移植するかを決めること。

庭は母屋と新居の間にできて、
二つの世帯の生活を「繋ぐ」役割をします。
同時に、それぞれの生活に適度な「プライバシー」をつくる役割をします。

庭によって、二つの家が、二つの暮らしが一つになるようにデザインしたかった。
それで庭は小さな「広場」と位置づけました。
そして、その広場の中心には、シンボリックな大きな楓の木があるといい。
それが、それぞれの家からの視線を受け止める。
そして、広場に豊かな「影」と四季の変化の彩りを与える。
これがメインコンセプト。


他にも、もともとの庭には、果樹が沢山ありました。
夏ミカン、バンペイユ、サクランボ、ザクロ、イチジク、レモン、ブルーベリー、、
地面には野菜やハーブも植えられていました。

これらもなんとか新しい庭にレイアウトしなくては。
果樹はまとめて木立ちのように。常緑のミカン類は隣家からの「目隠し」の意味も兼ねるように配植する。
なにしろ庭のスペースは小さくなる訳ですから、合理的にしなくてはなりません。

野菜はベンチになるくらいの花壇に植えるように提案する。
高齢になると地面での作業はきつくなります。
花壇式の菜園にすれば、管理もし易く、他の雑草などどと紛れてしまうことがなくなります。

既存の石や岩も外へ捨てる訳にもゆかず敷地内で利用することに。
新築の家の「沓(くつ)脱ぎ石」にしたり、ロックガーデン風に景石にしたり。
ここに既存のハーブも植え替えることにした。

(つづく)
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