福岡県小郡市、「木つつ木」はうすの庭(3)

敷地の東側は「家庭菜園」(畑)になっている。
この畑もシンプルな作りである。
畦(あぜ)のように盛り上げた境界に景石がところどころ。
しかし客土は本当の畑から持ってきたものでよく肥えている。
畑は周囲から手を伸ばせば届く大きさにしてあり、かつ四方から触れるので管理がし易い。
建物付近の砂利敷きの下には「防草シート」が敷きこんであるので雑草は生えない。


トマト、ナス、キュウリ、ゴーヤ、、すべて家主さんが植えたもの。
野菜の花も控えめで愛らしい。
北面には「物置き」がある。
これはワークスの坂口さんが設計されたもの。
杉板を編んだような壁が美しい。
この壁はフェンスのようでもあり、実際は物置の壁である。

造園は物置の基礎に盛り土して芝を貼っている。
地面との一体感を出すためである。

駐車場は基本砂利敷きだが、あまり素っ気なく見えないように、また、砂利が道路に飛び散らないように、道路に面するところは芝生を貼っている。

シンボルツリーの桜の木の根元はゆるい築山となっている。
そこにハーブや草花を植えられる自然な花壇もある。
ただ、あまりにシンプルな作りなので、ただふつうに草が生えているようにしか見えないだろう。



「ルーラル(田舎の)ランドスケープ」は農村や農家の風景デザイン手法である。
地域で得やすい材料を用い、用途(機能性)を重視したシンプルなデザインをすることが基本と考える。
「ルーラル(田舎の)」の反対語は「アーバン(都市の)」である。
アーバンデザインも機能性を重視するが、田舎のそれとは様相がかなり異なると思う。
田舎の風景は理屈ぬきに見るものを安心させる。
そのように造られた自然に囲まれて、この家の暮らしも守られてゆくことを願っている。

